Complete Stuido Recordings: The Master Tapes
 ジャズピアニスト、Elmo Hopeのピアノトリオ作品のマスターテイクを完全収録した4枚組。ホープにはクインテットセクステット編成による録音もありますがその辺はお呼びでないので問題無し。すべて70分越えで吹き込み年代順とか流れとかは特に意識せず4枚に収められるようとりあへず突っ込んだという印象。曲順もオリジナル作品とは違います。
 手持ちのCDを見たらホープ参加作品はブラウニーの「クリフォード・ブラウン・メモリアル・アルバム+5」だけでどんな演奏をするのかずっと気になっていたんですが、うーん中途半端な感じ。多分日本全国でもホープファンは100人もいないと思います。同時代に活躍した例えばWynton Kellyのようにファンキーで溌剌としているわけでもなく、Red Garlandのようにメロディアスでもなく、Junior Manceのようにブルージーで快活でもなく、かといってThelonious Monkのように無比のユニークさを携えているわけでもなく。とても淡白で簡素な演奏です。寺島某が「無愛想」と評していましたが納得。しかも作曲能力が特段あるわけでもないのにやたらオリジナル曲が多いのもスタンダード好きとしてはマイナス。
 が、ホープトリオの魅力は本人よりもリズム隊にあります。本人が選出しているのかは不明ですがベース、ドラムスのセレクトが非常に秀逸。イモなジャズメンは一人もいません。ベースはPercy Heath、John Ore、Curtis Counce、Jimmy Bond、Paul Chambersなど、ドラムスはWillie Jones、Philly Joe Jones、Frank Butler、Clifford Jarvisでしかも録音の大半にフィリーが参加しているのが見逃せない。ピアノの音数が少ない分ベースドラムスが十分に堪能出きるところが良いですね。アルバム単位では録音が良く演奏時間もちょうど良い60年前後の「Here's Hope」あたりが良さげ。逆に長尺な晩年作「The Final Sessions」は馴染めず。普段ケリーやティモンズなど手数の多いピアニストを聴いていると少々面白味に欠けるエルモ・ホープですが、ビートを楽しみたい向きにはイケるかと思います。