雲上都市の大冒険


 大技炸裂の脱獄トリックが話題を呼んでいる鮎川哲也賞受賞作。確かにメインのネタとなる超強固な牢獄からの脱獄法についてはかなり面白い。モロにアイディア一発と言えるようなバカさ加減である。実行出来るかどうかはともかくこの突き抜けっぷりは評価したい。二人の探偵が登場し舞台は戦後ということで麻耶雄嵩三津田信三を足してアクを抜いて水で薄めたような印象を覚えた。雰囲気はおどろおどろしくしたいのだろうけど、現代っぽい喋りとライトな文章のせいで非常に軽いムードである。謎解きがいきなり始まって呆気にとられて随分と長々しい解明はちょっと冗長すぎるだろう。ラストは当然続編を期待させる感じであり、各所で言われているように今後の作品こそ重要なのかも。頑張って面白い作品発表していって欲しいね。それにしても審査委員の三氏非常に手厳しいw