悪果


 相当に濃ゆい作品で面白かった。主役は暴犯係の二人でかなり異色。今まで読んできた警察小説では官僚や所轄や強行の話だったりしたので本作のようなねっとりじっとり暑苦しく汗ばむような作風はダメな人も多そう。主役の一人伊達のキャラが異常に際立っていて最初は粗雑過ぎる関西弁にイヤな気分にさせられるも、なかなかにチャーミングなとこもあるので最後は結構スキになる。勤務中にビール飲みまくりで笑える。
 特に派手な事件が起きるわけでもなし巨額のカネが動くわけでもヤクザの本家が動くわけでもない。カネと情報のみで繋がっているヤクザ顔負けの暴犯の実態がリアルに描かれていて最高だ。いやホントにこんなんかは知らんけどね、こうだったらウケる。ところどころファックシーンが出てくるのだけど、これがまたねっとり下品な感じがまたイイ。全編に渡り濃い関西ムードに覆われているので関西弁苦手な人は注意。ローランド・カークの音源聴いた時のような疲労感があるね。濃ゆいけどこんなやりとりなんかは大好きだ。
 「同伴はええけど、あの女、けっこう齢食うてたで。四十近いのとちがうか」
 「二十歳の女がふたりおると思たらええんや」
 こっちもいい。
 「血はとまりますか」
 「そら、心臓が動かんようになったらとまるやろ」
 悪しき果実を摘み取った男たちの行く末もリアルっぽくて良い。


 ジャニスでCDを借りる。めぼしいのは無いが気になったのを。
 Dragon AshThe Best of Dragon Ash with Changes Vol.1」は懐かしくて聴きたくなった。パンクロック、オルタナを経てヒップホップに傾倒するくらいまで。Vol.2はヒップホップから公開処刑を経てドラムンまで、そちらは興味なし。「天使ノロック」なつい。次はquasimodeThe Land of Freedom」、評判ヨサゲなので聴いてみたが家聴きでは面白くない。やはりフロア寄りのクラブジャズだ。Sleep Walkerと混ぜたらおんなじに聴こえる。次は峰厚介クインテット峰(紙ジャケット仕様)」TBMカタログの初っ端の再発。バップ風なとこもある。あんまりスキじゃない。Georges Paczynski Trio「Levin Song」澤野から。94年に800枚プレスされたレア盤。ドラムがリーダーで演目は全曲Jean-Christophe Levinsonによるもの。演奏はリズム隊が硬質で良い。ベースのJean-Francois Jenny-Clarkがブリブリと出っ張っていて最高だ。次はJ DillaのRemix集。音質もバラバラで最悪なのだけどまとめて聴くのもよいかと思って。Pharcyde「She Said」がやはりスキだ。次はD'Angelo「Yoda:The Monarch Of Neo-Soul」オフィシャルらしいがmp3が吸い出せねーよ。熱心なファン以外には必要ない作品だ。ただCD派には珍しい音源も入っているので音質とか気にしなければまぁアリかと。クエストがリークした未完成新曲「Really Love」収録。ライブ音源はRoy Ayersのやつが最高にグルーヴィだぜ。次はYNQYesterday's Universe」どうせ面白くないと思ってスルーしてたのにカッコよすぎるじゃないか。ドラムが乱舞しまくっていて素晴らしいよ。これは2007ベスト20級。次はAbd Al Malik「GibralterシャンソンミーツヒップホップとかゆうフランスのMCの作品。これがまた見事にハズレだった。つまんないゼ。次はGarble Poor「Page Two」Black Smokerより。以前観たライブは良くなかったのだけど、この音源はかなり良い。Think Tankのラップが好きな人には向いてるかも。音も太い。