疑心―隠蔽捜査〈3〉
 大好評隠蔽捜査シリーズの最新作第三弾である。
 今回は女性キャリア畠山が登場し、主人公竜崎の心境に多大な変化を与えるところが読み所。前二作で描かれた警察官竜崎ではなく一人の男としての竜崎を描き、第三作目はちょっと変化球で攻めてみました。ただ、秘書として活躍することとなる畠山があまり魅力的でないのが残念。竹内結子あたりかなと配役してみたがあまりしっくりこず。多分30代前半だと思うのだがいまひとつ想像しづらい。その畠山を想う竜崎の変化に大部分が割かれているのもやりすぎかなぁと。おっさんが恋するのがダメというわけではないが、もうひとつのメインケース、アメリカ大統領訪日とテロ計画が少々おざなりになってしまった感も。まぁその分竜崎の人間的な面白さが増幅したからよいか。シークレットサービスのハックマンのキャラ立ちは抜群。竜崎渡米の伏線か。
 それでも相変わらず竜崎は最高に魅力的だし、文章は一気読み出来るくらいのリーダビリティ、内容もとても分かりやすい。エンタメ小説として出色の出来。やはりこのシリーズは間違いなく、面白い。ファンは是非。