2008年新刊本ベストー。僕のミステリー。略して僕ミス。条件は2008年に発表された本でミステリーじゃなくても問題なし面白ければ。昨年に比べボリューム満点のヘヴィ級作品が好印象でした。

チャイルド44 上巻 (新潮文庫)
カラスの親指 by rule of CROW’s thumb
完全恋愛


 堂々の1位はトムロブスミス「チャイルド44」で見事に物語世界に引き込まれました。時間を忘れて貪り読みたいってゆうのが個人的面白さの最重要項目かも。道尾「カラスの親指」はもうひとつの傑作「ラットマン」と共に素晴らしい伏線回収の嵐。そして話も相当に良かった。「完全恋愛」は構成と壮大なトリック、仕掛けなど存分に唸らされた作者の地力を感じる力作。造花の蜜
ファミリーポートレイト
聖女の救済


 連城三紀彦造花の蜜」各種ランキングからは漏れたが本格ミステリーの技巧を存分に体験したいならば是非読んでおくべき。流石の必殺。桜庭一樹ファミリーポートレイト」は徹頭徹尾物書きとしての誇りを賭けた情念の傑作。活字とは自らの身を削ぎ落としているからこそ面白いのか。東野圭吾「聖女の救済」は「容疑者Xの献身」と対になるジェミニ作品。女だからこのトリックが実行できたのか、は不明だが少なくとも男には実行出来そうにないイカれたトリックが壮絶。ディスコ探偵水曜日〈上〉
エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ (講談社ノベルス)
十三回忌 (ミステリー・リーグ)
ひねくれアイテム (講談社ノベルス)


 舞城「ディスコ探偵水曜日」はボリューム過多の爆撃SFミステリーでした。その辺りはほぼ理解出来ませんでしたがキャラ小説として第一級の快作。深水「エコール」は「トスカ」と同じく本年の良質本格ミステリの代表格。2009年もこのクオリティを保って欲しく是非読み続けたい作者です。この安定性は貴重ですね。「十三回忌」はクソバカトリックが思いのほか笑えたので。もうそこのみ。文章はクソ。江坂遊「ひねくれアイテム」はかなり無視されていると思うのだがもっと評価されるべき。クオリティ高のショートショートの連発に眩暈がする。一作一作をじっくりと味わいながら楽しみたい。Story Seller (ストーリーセラー) 2008年 05月号 [雑誌]


 次点はこのミステリーコンピ集。どれもが面白かったです。表題作は圧倒的ベスト。今年最も衝撃を受けた中篇でした。また来年もこのシリーズを刊行して欲しいという希望を込めて記しておきます。聖家族


 無念だったのは、これは絶対傑作だ!と確信し速攻手に入れた古川日出男「聖家族」を物語半ばで挫折したこと。凄まじいまでの重量作なので書評もあまり見かけず。日本版「百年の孤独」だとか。2009年前半にはなんとか制覇したいぜ。

 あと2008年はうんこが目立ちました。

まだ殺してやらない (講談社ノベルス ア AF-01)
パラダイス・クローズド THANATOS (講談社ノベルス)
まごころを、君に THANATOS (講談社ノベルス)
青薔薇荘殺人事件


 以上がMathaFukinFourです。マザファッキンフォーです。クソです。
 「まだ殺してやらない」は作者が頑張って傑作にしようと奮闘したのにウンコしか出なかった哀しき駄作。汀こるもの氏は言わずもがなの薄っぺらさで読了後なーんにも残りません。ホント苦痛。もう一作も同じようなクソ作らしい。2作目はね、マジで凄いですよ。こんなつまらない文章書けるなんてスゴイ!って思えます。
 そして個人的には最高に興奮した「青薔薇荘」がダントツのスカトロミステリです。非常に気分を害する劇薬。凡人には到底到達出来ない孤高の文章。ファックですイエー。ほーんとにサイテーな4作です。まぁでもなんでしょう、最高に面白かった本の感想より最高につまらなかった本の感想のほうがノリノリで書けて楽しいですね。そこ一点は素晴らしいと思います。
 来年も面白い本が読めることを期待して。