辛い飴―永見緋太郎の事件簿 (創元クライム・クラブ)
 ご存知ジャズミステリー作品集の第二弾。
 日常の謎系のミステリーとしての質も高いので普通のミステリーファンも楽しめますがジャズをちょっと知っていたりすると更に楽しめること請け合いです。大好きな曲や自分の好きなジャズメンの名前コルトレーンモーガン、ハバード、ウディ・ショウとか出てくると嬉しくなってしまう。演奏自体が謎解きに絡んでいる作品もありますがそれ以上に作者の熱のこもった迫真のブロウ描写が素晴らしいですね。なんだろうフリー寄りの演奏なのかな永見は。フリーはようけ分からんがとんでもないプレイなのが想像出来ます。作者の趣味を全面に出しまくったコラムも好感が持てます。1969マイルスやハンニバルベルリンえーよなぁ。ベストはコンパクトながらもオールドジャズメンの情熱が目一杯感じられる表題作「辛い飴」です。これは素晴らしい。さまざまな想いが交錯する「渋い夢」も良いです。ミステリーが好きでジャズに興味持っている人には断然お薦めです。