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ピアノが出し得る最も美しい音のみで作られたジャズピアノ作品だと思う。決して強い音ではないのにピアノが壊れていくようだ。本作録音前にエヴァンスには不幸が重なりこういった作品が出来上がったようだけど、美しくもこの救いようの無さは如何ともし難い。聴いてるとすげー落ちるんだもんよ。ラファロ、モチアンで聴けるような三位一体のプレイはここにはない。エヴァンス唯一人が沈み込んでいくみたい。ワルツや肖像も気品溢れる作品だし普遍的で何度も聴きたい馴染み易さがあったけど、これはもうずっと遠くのアチラ側で鳴らされている音の気がする。
読書にぴったりのBGMになるなぁと最初は嬉しかったけど、全然そんなことない。BGMにならない。身の毛がよだって仕方が無い。東野圭吾の「手紙」読んでるときにコレ聴いてなくてよかったよ。素晴らしい作品であることは揺るがないしエヴァンスの代表作なのも疑わない。だけどはじめてのエヴァンスとしては絶対薦められない。そんな作品。