アローン・トゥゲザー


 寺島レコード第一弾作である。松尾明(ds)、寺村容子(p)、嶌田憲二(b)、MAYA(vo)、西田幹(b-tb)でお送りする。寺島は棺桶レコードを作りたかったようで本作はアッチに逝っても聴く模様である。寺島著のピアノトリオ本など読むと分かるのだけど、彼の好きなピアノトリオってのはピアノは普通に良くて極端に言えば刺身の褄で良くて、ベースとドラムがしのぎを削っているリズム隊がヤバイのだと思う多分。本作が正にそうで録音が非常に生々しくベースとドラムが猛り狂っている。特にベースがすごいなぁ。アグレッシブでアタック感の強いピアノトリオ好き向けだね。
 曲は3〜4分とコンパクトにまとめて一気に聴かせる強みがある。ソロやアドリブは尽く排除してジャズピアノのコアな部分のみを抽出している。なんでアドリブ重視やソロを楽しみたい方は面白くないだろう。寺島もライナーで、自分が聴きたい作品を作った、と言っておるので彼のファンや嗜好に共感を覚える人はきっと満足出来ると思う。
 寺島フェイバリトドラマーはフィリー・ジョーとロイ・ヘインズでボクと同じなんで(当然彼のほうがファン歴は長いだろうが)ピアノトリオでドラムを褒めているときは信用することにしている。レビューでもときどきというか結構主張が変わっている気がするのだけどそれはじいさんだからしょうがないとして、アクの強さは他の人にはないので楽しむように心掛けている。うん、ボクは好きですよ。