インシテミル


 偏屈青春ミステリーの雄・米澤穂信がド本格ミステリに真っ向から挑戦した意欲作とでも言えばよいでしょうか。ミステリ恒例のクローズドサークルを用意しています。疑心暗鬼になった登場人物がマーダーを繰り広げます。設定はありきたりなんですが、米澤がこういったオーソドックスなミステリを書いたのが意外。面白いのはロジカルな推理ではなく、雰囲気というあいまいな理由によって犯人を指摘していくという点。米澤流アンチ本格ミステリとでも言えばよいのか。アンチといえば古典推理小説を取り上げているのも見逃せない。暗鬼館という如何にもな綾辻行人様式で分かるが実際綾辻のことを作中でオマっている。オマージュというか、新本格の顔であった彼をすでに過去の遺物的な扱いをしているのも笑えた。ラストには米澤ブラックも用意してあり、なかなかに楽しめました。
 http://www.tokyocrossoverjazzfestival.jp/2007/index.html
 TCJF2007本日よりチケット発売。今後発表されるであろう海外勢に期待。