Jazz Next Standard ハード・バップ&モード


 Jazz Next Standardの最新刊。今回はハードバップ&モード特集。
 前作のスピリチュアルは趣味の範囲外だったので食指が動かなかったが、今回はドンピシャのハードバップ。数多あるジャズ本との差別化には非常に成功していて、それは「踊れるジャズ」という思想が徹底しているからだと思う。注目はやはりページの大半をさいたユーロジャズ。ネットでは紹介されたりしているがこうやってまとまったカタログ本となると初であろう。
 アメジャズ原理主義の朽ち果てたコンクリート頭の評論家にはユーロジャズを軽視している向きがあると思うが、いやいや海を渡って各々の国で成長したジャズにも面白いものがありますよ、と推薦する低姿勢に好感が持てる。
 内容だがヨーロピアンジャズの充実っぷりがスゴイ。9割方知らん。ヘイズ、シハブ、CBBB、ダスコ、バッソあたりの有名どこくらいだなぁ。ヴァイナルオンリーも多くあるが、このシリーズ本の最大の功績であるCD化に期待大である。デザインもシンプルでとても読みやすいし、何よりメンバークレジットがあるのが嬉しい。自分は参加ジャズメンで選んだりするのでこの表記は好ましい。更に欲を言えば寺島靖国著「JAZZピアノ・トリオ名盤500 (だいわ文庫)」(相当なクセがあるが結構スキ)にある録音点数みたいなのが欲しかった。どんなに曲が良くて演奏が良くても、音の悪さには敵わない(パーカーがジャズ初心者向きではないのは、凄すぎる演奏だけでなく劣悪な録音が大きな要因だと思う)。
 自分も基本メリケンジャズなので、所謂名盤定番と言われる作品をある程度聴いてから2冊目3冊目として購入するべき本です。前々作に紹介されたアルバムは載せてなく、作成者の気合が感じられる素晴らしい本に仕上がっています。