泥音
- D'Angelo - Voodoo [2000]
- Playa Playa
- Devil's Pie
- Left And Right
- The Line
- Send It On
- Chicken Grease
- One Mo'Gin
- The Root
- Spanish Joint
- Feel Like Makin' Love
- Greatdayindamornin' / Booty
- Untitled (How Does It Feel)
- Africa
今日は特別な日なので、自分にとって最高の一枚を紹介。ディアンジェロが世に送り出したブラックミュージックの真っ黒な結晶傑作セカンド。もう鬼の如き音楽だ。愛してるよ!この作品って、Marvin Gaye「What's Going On」以来のソウルの傑作ってゆわれてるけど、オールドソウルファンから文句ありそうだけど、多分自分と同じくらいの世代の人たちにとったら、マーヴィンやスティービーやダニーやカーティスやプリンスよりもリアルソウルなんじゃないかと思う。あくまで個人的な見解ね。それってやっぱりビートに拠るところだと思う。そう、ヒップホップの血が流れてる点ね。その強靭なビートが若いソウルファンを惹きつけてるんだ。
[Tr.1]からその歪なファンクビートが壮大なヴードゥーワールドをドロドロに飾っているし、続く[Tr.2]では御大DJ Premierによる超強力なビートが体を揺する。相変わらずファットで刺激的なドラムは流石だと思う。賛否両論の曲だけど、これだけのビートは彼にしか成し得ない音だろう。Method ManとRedmanによるマリワナトラックも面白い。
で、本格的なリアルヴードゥーワールドは[Tr.4]から展開されるわけですよ。いや、もうこっからの楽曲群は本当に怒涛のドロドロリアルファンクソウルが渦巻いている。もう、熱病に魘されるような、じっとりと汗が滲み出てくるようなトラックばかりだ。中でも、[Tr.6][Tr.9]の鬼のように暑っ苦しい強力ジャムセッションは体に纏わり付くような雰囲気で緊張感に溢れまくり真に刺激的なファンクだ。もうジャムりまくりだよ!
[Tr.11][Tr.12]に渡るソウルバラードも凄いんだよ。ハイハットとスネアのコンビネーションがハンパねぇよ、ここまで官能的に響くドラムはそうはねぇ。鬼ファルセットで雄叫びをあげまくるクライマックスは異様なテンションで陶酔しまくりなのに、あのいきなりのフェードアウト!やべぇ。あれだけの渦巻くファンクワールドに引き摺り込んでおきながら、あっさりと僕らを置いてイってしまうしよ。ラスト[Tr.13]では息子への愛を高らかに宣言するアルバム中最も心温まるリアルソウルだ。それまでの呪術的で汗だくなビートから、すっと開放するような楽曲はアルバム最後を飾るに相応しい名曲だ。
参加アーティストはRoy Hargrove、Q-Tip、Raphael Saadiq、Questlove、James Poyser、Charlie Hunterなど。この頃のソウルクエリアンズは鬼のようなプロダクションで、この作品はそれが最も良い形で結実したものだと思う。この後は、Questloveのオナニーのようなプロジェクトと化し、全く成長しないサウンドを展開するのだけど。この作品前後の音は高いクオリティを誇ってたね。演奏陣も現在のジャズシーン、ソウルシーンを牽引するメンバーで悪いはずがない。
ディアンジェロの体から発せられる混じりっ気なしのファンクムードと超強力なリズム、高い作曲能力が高次元で融合した近年稀にみる傑作。こんなにヴァースとコーラスがはっきりしない、難解な音楽がよくまぁ売れたなぁと。いつまでこのアルバムは僕の中でトップに位置する作品でいられるだろうか。そんな自分の事情はさておき、ブラックミュージックに燦然と黒光りする音楽はソウルファンに限らず、音楽好きは聴いておいて欲しい。80分近い収録時間も苦にならないような曲しかないです。そのじっくりと創りこまれた音に身を委ねてみて欲しい。今夜もこの悪夢のようなゲロドロファンクソウルに魘されちまいな。
- アーティスト: D'ANGELO
- 出版社/メーカー: EMI
- 発売日: 2002/08/01
- メディア: CD
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