無貌伝 ~双児の子ら~ (講談社ノベルス)
 自称日本で一番尖っている賞だとかいう悪名高きメフィスト賞の凡作です。
 例えばメタルとかハードロックは様式美というものが確立されているジャンルでそれは実力人気共に兼ね備えているメタリカAC/DCが演るからかっこよいのであって、結局それはミステリーにも言える。前に批評家か作家の誰かが、古きよき本格ミステリ然とした旧家や洋館、孤島での連続殺人、探偵、怪人、密室なんつーもんはある程度の実力を持った者しか書けないし書いちゃいけないみたいなんことを言ってた。細かいとこは忘れた。
 で本作はそういった本格の魅力が薄いために「ヒトデナシ」なんつーパーツを持ってきて有耶無耶にしただけで、しかもヒトデナシの設定自体も魅力が無くちっとも面白くない。結構な分量を一応は読ませる筆力は感じさせるが特にキャラへの魅力も物語の面白さもイマイチ。一生懸命ボリュームのある話を読んだので凡作に落ち着いたが本当は駄作だと声を大にして言いたい。