告白
 面白い。が、惜しい。
 2008年のミステリーランキングでの軒並み高評価の逸品をようやく図書館にて。でもこれは買っても良いくらいの作品だったなぁ。それにしても物語の隅々にまで嫌な雰囲気を行き渡した徹頭徹尾イヤーなお話の連続で大満足。本作は全六章の構成で後半3作が書き下ろし作品になっているのだが、これがイケナイ。前半がガチにクオリティの高さが際立つ嫌悪ミステリに仕上がっているのに後半はなんか勢いっつーかアレ雰囲気変わった?と思ってしまったくらいの変貌ぶり。まぁ最終章はヤツが登場してきたのでかなりブラックだったとは思うが。
 自分は登場人物ん中でウェルテルが断トツやばかった。嫌なキャラばかりなのだが、このウェルテル、イヤに加えて、うわ〜、と顰め面になってしまうことトップクラス。自分のこと生徒に良輝と名前で呼ばすならまだ許容範囲なのだがウェルテルという名前のセレクトにもう腹が立つ。ウェルテル、サイテーな響きだぜ。あオレんこと名前呼び捨てで呼んでくれていいからよ、とかのたまうヌルイ頭の年上の人間を思い出す。このウェルテルが登場しなかったら本作のイヤ度はかなり下がったはず。
 とにかく文章も巧いキャラ立ちも素晴らしく2008年の新人としては破格の出来なのは間違いなし。湊かなえと較べたら汀某なんぞはただの悪ふざけレベル。ヒジョーに楽しめました。