うたうひと
 かなり良かったです。
 小路幸也は「モーニング」「21」と立て続けに長篇を読んできましたが、そこまで心に響かずややクドい印象だったのですが、短篇ならではの小気味の良さやコンパクトさが功を奏しとても清々しい物語に仕上がっています。連作集ほどではないにしろ物語同士がちょっとずつ繋がっていてその辺りはミステリーっぽいかも。お気に入りは「唇に愛を」「その夜に歌う」「明日を笑え」の三作。長篇で感じられた濃さが適度に薄まり青臭さも散りばめ瑞々しいお話だと思いました。オススメです。