首鳴き鬼の島 (ミステリ・フロンティア)


 ストレートすぎるほど本格ファン向けですが、面白かったです。小説としての面白さも重視する人には向かないと思います。鬼、首切り、見立て、孤島、館と王道な設定にも心踊りましたが、メインとなるネタは現代の科学捜査を取り上げた理系トリックで、作者の新本格への挑戦というか心意気が感じられて良かったです。冒頭の記述は明らかに怪しいと思っていたので常に念頭に置いておいたのに、ちょっとしたズレでヤラれてしまいました。稲口と影石の軽妙なやり取りも良いです。脳には理系も文系も無いみたいですが、理系ネタが苦手な人は途中で飽きちゃうかも。使い古された古典的なラストはもうちょっとどうにかならなかったのか。