鬼スネア

Deserter’s Songs

 最近新作を発表したMercury Revの前々作。1998年と言えばRadioHeadの「OK Computer」が思い出されるが、個人的に98年は本作の年だ。あとGang Starr。彼らは本作以降、至高のサイケデリックサウンドを求めて上の上まで突き抜けてイっちゃった感があるけど、自分はこのアルバムのバランスが一番良いと思ってるし、何より一番聴くから。
 とにかく、発表前から異様な期待が込められたアルバムだし、その評判を上回るくらいの衝撃が本作にはある。デイブ・フリッドマンのゴシャゴシャドシャドシャなメタリック凶暴ドラムはこの時点で完成しているし、甘くユラユラとしたメロディも素晴らしい。個人的なハイライトは「Tr.8 Goddess On A Hiway」「Tr.9 The Funny Bird」の流れだ。特にTr.9でのクライマックスでブチ鳴らされるドラムの凶悪さったらない。ヴォーカルも甘く不気味に響くし、ある意味ファンタジーの音だと思う。ドラム好きな人は是非聴いておいて欲しい名曲だ。ホントに鬼ドラムです。
 アルバムタイトルから曲名、音まで一貫したコンセプトに基づいて製作され、その全てが高次元で合致していて、かつ危うく儚い面も孕んだ本作がMercury Revの最高傑作だと信じてやまない。新作が気に入った人にも聴いていただきたい。いただきます。

Deserter's Songs

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