カモメはカモメ

ReturnToForever

 フュージョン期に突入する記念盤と言えるジャズの基本盤にして重要盤の作品。といった、仰々しい文句を付けなくても、このアルバムがとても透き通った美しい音楽であることには変わりない。晴れた日曜の午前中から聴きたいアルバムだ、ブランチと共に。ブランチ!プ。
 自分のベストトラックは、Tr.2 Crystal Silenceだ。とても美しい曲で当然Chick Coreaのエレピは良いのだが、バンド全体が終始静観なムードで曲が進んでゆくのが心地よい。Tr.4 Sometime Ago - La Fiestaは説明不要の名曲だが、やはりバンドが創り出す音の高揚感は何とも言えない。特に耳を奪われるのがAirto Moreiraによるドラムだ。とても繊細なタッチでリズムを刻みバンドを支えていたのが、突如としてダイナミックな叩き方になり、スネアとハイハットの音色の虜になってしまう。ベースの響き方もとても印象的。というか、彼らが出す音は、「紡ぎ出す」といった形容が似合っている気がする。とても優しい音なんだ。きっとそこから愛なんだ。
 で、いいアルバムなんだが、夜の音じゃないんだなぁ、個人的に。自分はジャズは夕方から夜にかけて聴きたい音楽だと思っているから、正直この作品の出番は少ない。要は、土日の午前中に起きてるか!って話になるわけですよ。爽やかで瑞々しくて入学シーズンに聴きたいアルバムNo.1らしいっすね。すまん。あぁ、腰が痛ぇ。

リターン・トゥ・フォーエヴァー

リターン・トゥ・フォーエヴァー